リノベーションで後悔しないために、最初に決めておくべき4つのこと

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今回は、リノベーションを検討している方に向けて、私が設計者として「これだけは最初に決めておいてください」とお伝えしていることを、正直に書いてみます。

リノベーションの相談を受けていて、最も多く感じるのが「始め方を間違えている」ケースです。施工会社をいくつか回って見積もりをとり、一番安いところに頼んだら思っていたのと全然違うものができあがった。

あるいは、お金をかけたのに暮らしが全く変わった気がしない。こういった後悔の声を、私はこれまで何度も聞いてきました。リノベーションは、順番を間違えると取り返しのつかないことになる。だからこそ、最初の「決め方」がすべてといっても過言ではないのです。

リノベーションの目的を可能な限り明確にする

まず最初に決めるべきことの一つ目は、「何のためのリノベーションか」をはっきりさせることです。これは当たり前に聞こえるかもしれませんが、実はほとんどの人が曖昧なまま進めてしまいます。「なんとなく古くなったから」「おしゃれにしたいから」では、設計者もプランの立てようがありません。

もう少し具体的に言うと、「収納が足りなくて毎日ストレスを感じている」「子どもが生まれてリビングの使い方を変えたい」「在宅ワークが増えたので仕事部屋がほしい」——こういった「生活上の課題」が明確になっていると、設計の方向性が一気にクリアになります。目的が明確なリノベーションは、予算の使い方も自然と絞られてくる。逆に目的が曖昧だと、あれもこれもと広がって、結果的に予算オーバーか、中途半端な仕上がりになりがちです。

理想と現実を融合させる

「今の家で、毎日ストレスに感じていること」を紙に書き出してみてください。

3つ以上書けるなら、それがリノベーションのテーマになります。漠然とした「おしゃれにしたい」より、具体的な不満の解消がゴールになっているほうが、完成後の満足度は格段に高くなります。

二つ目は、「予算の上限と、絶対に譲れない優先順位」を決めることです。

リノベーションは、やろうと思えばいくらでもお金をかけられます。一方で、予算には必ず上限がある。この現実を正直に設計者と共有することが、良いリノベーションへの近道です。

私がクライアントに必ずお聞きするのは「この部分だけは絶対に妥協したくない」というポイントです。

キッチンにこだわりたいのか、バスルームに投資したいのか、それとも床材と照明で空間全体の雰囲気を変えたいのか。

優先順位が決まっていれば、予算が足りないとき「どこを削るか」ではなく「どこを後回しにするか」という発想ができる。リノベーションは一度で全部やり切らなくてもいい。フェーズを分けて段階的に進める設計も、十分に有効な戦略です。

優先順位をどうやってつけていくか

三つ目は、「どこまで変えて、何を残すか」を決めることです。これは特にリノベーションならではの問いです。新築と違い、リノベーションには必ず「既存」があります。その既存をどう扱うかが、空間の個性と費用の両方に大きく影響します。

全部壊して新しくすれば、確かにきれいにはなります。でも費用は膨らむし、その建物が持っていた「時間の重み」も消えてしまう。古い梁をあえて見せる、昭和の床タイルを磨いて使い続ける、既存の建具をペイントして再利用する——こういった「残す」という判断が、リノベーション空間に唯一無二の表情をもたらします。私が古民家や昭和の住宅のリノベーションが好きなのも、この「残すものを決める」作業に、設計者としての醍醐味を感じるからです。

予想外が絶対に出てくるのがリノベーション

解体してみて初めてわかることが、リノベーションには必ずあります。想定外の構造が出てきた場合に備え、予算の10〜15%程度は「予備費」として確保しておくことを強くおすすめします。これは設計者として、経験上必ずお伝えしていることです。

四つ目は、「誰に頼むか」を、見積もり金額だけで決めないことです。リノベーションは、完成して終わりではありません。住み始めてから気になること、数年後のメンテナンス、追加の工事——長い付き合いになる相手を選ぶという意識が大切です。

見積もりが安い業者が悪いわけではありませんが、なぜ安いのかは必ず確認してください。使う素材のグレード、施工の手間、現場監理の有無——安さの理由が見えないまま契約するのは、リノベーションで最もリスクの高い行動の一つです。

可能であれば、設計と施工を分けて考えることもおすすめしています。設計者に図面を描いてもらい、その図面をもとに複数の施工会社から見積もりをとる。こうすることで、同じ条件での価格比較ができますし、設計者が施工の監理もしてくれれば、品質面での安心感も大きく変わります。

決断の多さ

リノベーションは、新築より自由度が高い分、決断の数も多くなります。でも最初に「目的・予算・残すもの・頼む相手」の四つをしっかり決めておくと、途中で迷うことが格段に減ります。設計者として私が一番うれしいのは、完成した空間をクライアントが「思っていた以上のものになった」と言ってくれる瞬間です。そのためには、最初の対話が何より大切だといつも感じています。

リノベーションを考えている方は、まず「自分が何に困っているか」を言葉にすることから始めてみてください。その一言が、良い空間づくりの出発点になります。

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